日本自動車連盟(JAF)加盟クラブ J.A.C. (10003)
クラブ概要 ヒストリー 赤城氷上 RALLY LINK
赤城氷上
 上州オートクラブ(JAC)では、群馬県中央部に位置する赤城山山頂の小沼で、
1965年(昭和40年)冬季間凍結する湖面を利用して、氷上コースを造り「赤城
氷上ハイスピードトライアル」や全日本ラリーのスペシャルステージ(SS)の場と
して長い間開催してきました。
開催当時は日本の本州で唯一氷上走行ができる場として、多くの自動車メーカー
やタイヤメーカーがテストで利用し、変わった団体では、高速交通機動隊が雪道の
走行訓練のために利用していた時期もありました。

開催当時は冬タイヤ=スパイクタイヤが主流で、競技会ともなると参加者各自が
特殊スパイクタイヤを装着し豪快なハイスピード氷上走行で競い合っていました。
1976年頃からは「全日本ラリーDCCSウインターラリー」のスペシャルステージ
(SS)として利用され、日本を代表するラリードライバー達は殆ど走行経験のある
場所でもあり、「赤城氷上」というと全国的に知られて行くこととなりました。

赤城氷上の管理は気象的にも技術的にも過酷な場所で、風が強い時は風速30m
を超え、気温も昼間でも氷点下15度を上回らないことがシーズン何日も続く時があ
ります。、コース上に雪が積もると氷の表面が保温状態になり不安定になり、また
コース上の氷の厚さが少ない場合は氷に穴を空け、水を表面に張ることにより氷の
厚さを維持したりしなければならず、冬季間JAC管理者を赤城山頂に常駐させ、多
くのブルドーザーや除雪車を駆使し最善の状態を維持していました。
あるときフジテレビ系列の早朝番組が、生中継で赤城氷上を流すという企画依頼
があり、前日から準備を進めていましたが、夜になり猛吹雪となってしまい、スタッ
フの宿泊場所である大沼付近の宿舎から小沼への道路や、小沼のコースの除雪
作業を徹夜で行っていましたが、生中継開始直前、強風で中継車のパラボラアン
テナを立てると倒れる危険があるため、本番直前中止となったことなど、苦労した
思い出がたくさんあります。

1990年JAFの規定により、タイムトライアルを行う場合コース公認を取得する必要」
があると規定変更により、コース公認申請料をJAF支払うと経費面で「赤城氷上トラ
イアル」の開催が困難になり、その後は氷上走行会に変更されていきました。
それでも週末になると毎週、60台程度の参加者が氷上走行を堪能していました。
毎年2月の連休などは、JACの新潟支部や各支部のメンバーが終結し、参加者全
員にトン汁やイカ焼きなど振舞っていだたくなど、毎年楽しみな行事を行いました。

この頃よりタイヤもスパイクタイヤからスタッドレスタイヤが主流になり、氷上での運
転テクニックも大幅に変わっていきました。
また、今思えばこの頃から、地球温暖化により氷の厚さが年々少なくなってきた時
期でもあります。

2001年を最後に「赤城氷上」は終了し、過去38年間の歴史を閉じました。
38年間で赤城氷上走行した方々は延べ約10万人とも言われています。
「赤城氷上」の開催されなくなった理由は今まで公式に発表していませんでしたが
具体的には下記の通りです。よく問い合わせを受けますので、正確な情報を記載し
ます。
1.赤城小沼を管理していた群馬県企業局の管理管轄である榛名湖において水上
  バイクと釣り舟が衝突する事故が発生し、県の企業局の管理責任が問われる
  事がありました。過去38年間無事故であった赤城氷上も、何らかの問題が発
  生した場合は県の責任を問われるとの理由により「できたら氷上の開催をやめ
  欲しい。」との県側からの依頼を受けた為。
2.同時期に赤城山山頂の国民宿舎(JACの冬季間常宿)の閉鎖、小沼周辺の
  構築物撤去や整備により、氷上走行開催のためのインフラが無くなってしまっ
  た為。
3.地球温暖化より氷の厚さが少なくなり、開催されたとしても、1月後半の2週間
  程度になる可能性があった為。(最低でも1月中旬から2月末まで開催しないと
  除雪の為の重機の整備費用や、コース管理の為の経費が捻出できない。)
4.国定公園のため、自然保護団体などからの指摘などを受ける可能性が出てき
  た為。
上記のような理由により、赤城での継続を残念ながら断念しました。

赤城氷上終了後、JACメンバー有志と浅間モータースポーツクラブにより群馬県
嬬恋村において、バラギ湖周辺の牧草地を借用し、降り積もった雪を固めた後に
水をまき、氷上コースに近い状況の「バラギ アイスサーキット(BICC)」を2003
年よりオープンさせ、赤城の時代同様、週末には多くの氷上走行ファンが集まって
います。

JACでは地球温暖化防止のため、地元足尾で行っている緑化活動「足尾に緑を育
てる会」
に積極的に参加し、いつの日か、「赤城の氷」が以前のように厚く張ること
を期待し、ボランティア活動も進めています。

赤城小沼 冬季間は現在スノーシューのメッカ




DCCSウインターラリーで赤城氷上SSを戦った名車達


バラギアイスサーキットの走行風景 2004年撮影


バラギアイスサーキット 林間コース 2006年撮影
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